Detail image

純粋美術と宣伝美術

展示・見学・事前準備なし 有料
基礎・教養 デザイン・ものづくり アート・表現
主催者
東京国立近代美術館
開催期間
2021年10月05日(火) ~ 2022年02月13日(日)
申込期間
2021年10月05日 ~ 2022年02月13日
開催地域
関東
対象者
小学校低学年 / 小学校中学年 / 小学校高学年 / 中学生 / 高校生 / 大学生 / 社会人
事前準備
事前準備なし
なし
※「事前準備あり」の場合、申込みすること以外の事前準備が必要です。

このイベントに関連があるSDGsの17の目標

8: 働きがいも経済成長も 9: 産業と技術革新の基盤をつくろう 17: パートナーシップで目標を達成しよう

純粋美術と宣伝美術

1.純粋美術
現代では聞き慣れない言葉ですが、本小特集が焦点をあてている1950〜60年代頃は絵画や彫刻のように、芸術的価値の追求、鑑賞を目的とした美術を純粋美術と呼ぶことがありました。便宜上の単なる区分と理解できますが、単に美術と言わず、「純粋」をつけることで非純粋な美術も存在することをうかがわせています。ちなみに純粋美術と対になるのは非純粋美術ではなく、応用美術です。応用美術は美術的表現に加え、生活や宣伝といった機能や実用性を持つものを指します。例えば、インテリアの装飾、家具や食器、ポスターやチラシなど商業を目的とした印刷物などが含まれます。

2.宣伝美術
応用美術のひとつである商業美術に属します。商業美術は商業を目的とした制作物を指しますが、特にディスプレイやチラシ・ポスターなど、何かを宣伝をするためのものを宣伝美術と呼びます。普段私たちが目にする日用品の広告を呼ぶ際にはあまり用いませんが、演劇やダンスといった公演のチラシやポスターのことを宣伝美術と呼ぶことがあります。劇場で演じられるパフォーマンスのための舞台装置や衣装を舞台美術と呼びますが、それと対になって使われている印象です。 

1950年代初頭はこの種の仕事に従事する人たちの呼称として、宣伝美術家以外に図案家、商業美術家などが用いられました。50年代後半になると徐々にグラフィックデザイナーと呼ばれることが増えてきます。

3.日本宣伝美術会
1951年に設立したグラフィックデザイナーの職能団体です。山名文夫あやお、河野鷹思たかし、原弘、今泉武治、高橋錦吉きんきち、新井静一郎、亀倉雄策の7名が世話人となり発足しました。略称、日宣美。宣伝美術の向上と宣伝美術家の職能地位の確立と支援を目的としており、全国組織として運営されました。年に一度開催される日宣美展以外に、定期的に研究会や日本各地のメンバー交流も行われました。約20年間活動を継続しましたが、時間の経過とともにグラフィックデザイン界における権威的な組織としての側面が際立つようになり、60年代末には美術系の学生たちが起こした反体制運動で批判の的となりました。その後、1970年に解散します。

4.シュルレアリスム
1924年にフランスの詩人アンドレ・ブルトンが提唱したことから始まった芸術運動です。文学に加え、美術、映画など多分野で展開されました。日本語では超現実主義と訳されます。精神分析学者であるジークムント・フロイトの理論を基軸にし、芸術を通じて無意識の自由な表出を試みました。シュルレアリスムは、自動筆記やフロッタージュ、コラージュといった多様な表現技法を生み出しました。日本でも20年代後半には紹介され、その影響は波及、30年代を通して前衛美術のスタイルとして大きな潮流を生み出します。その中心にいたのが美術評論家、詩人そしてアーティストでもあった瀧口修造です。

非現実的なものや奇抜で幻想的なものを見ると私たちは「シュール」という言葉を使いますが、シュルレアリスムから転じたカタカナ語です。

5.コラージュ
はり絵(コラージュ)とは、写真や新聞、絵など様々な素材を切り貼りし、新しいイメージや性質を作成する技法です。素材となるものが元々持っていたイメージや性質が本来の意味から切り離され、他のものと組み合わされることで新しい意味が生み出されます。「糊付け」という意味のフランス語「coller」に由来し、シュルレアリスムの作品でよく用いられました。

ポスター《平和祭》をデザインした今竹七郎もシュルレアリスムに注目しており、シュルレアリスムの作品に用いられる様々な技法のなかでも、特にコラージュは商業美術で効果的に作用すると言っています*。コラージュで生まれる個々の無関係な素材の組み合わせは、現実を破壊し、そこに詩的な表現を発生させますが、商業美術においては、それが伝えたい内容へと転換されるのだそう。みなさんは《平和祭》の宇宙、薔薇と原子力の組み合わせに、どんなメッセージを読み取ることができるでしょう。

*今竹七郎「どうして商業美術はシュール化したか」『広告界』1939年9月号

6.デモクラート美術家協会
1951年に瑛九を中心として大阪で結成されたグループです。名前の頭に付く「デモクラート」とは、デモクラシー(民主主義)を意味するエスペラント語です。その名の通り、自由と独立の精神を大切にし、既存の美術団体や権威主義を否定しました。またメンバーの活動ジャンルも幅広く、芸術家の泉茂、森啓けい、郡司盛男らに加え、デザイナーの早川良雄、写真家の棚橋紫水しすい、河野徹らが創立メンバーとして参加。1957年の解散まで、展覧会の開催や機関誌の発行などを行いました。

ポスター《カロン洋裁》をデザインした早川良雄は、自著で瑛九に初めて会った時のことを回想し、「困惑にも似た戸惑い」を感じたと記しています*。その不思議な魅力と懐の深さに惹きつけられ会に参加し、解散までメンバーとして活動しましたが、その経験はとても「エキセントリック」だったと語っています。

*早川良雄「ふたりの思い出=山口正城と瑛九」『徒然感覚』、用美社、1986年

7.実験工房
1951年に結成された芸術家たちの集まりです。美術や音楽、文学などジャンルを超えて結成されました。芸術家の山口勝弘、北代省三、駒井哲郎、福島秀子、大辻清司きよじに加え、作曲家の武満徹やピアニストの園田高弘、詩人・評論家の秋山邦晴、舞台照明家の今井直次らが参加。瀧口修造によって「実験工房」と名付けられました。

実験工房は芸術活動だけでなく、企業と協働で行うプロジェクトにも参加しています。日本自転車工業会の海外用PR 映像を製作したり、東京通信工業(ソニーの前身)が開発した発売前のオートスライドと呼ばれる装置を用いて、抽象的な写真と音響を組み合わせた映像作品の制作をしたりしています。

8.新制作協会
美術界での派閥争いを否定し、真摯な気持ちで芸術活動に専念することを目的とし、1936年に新制作派協会として結成されました。画家の猪熊弦一郎、小磯良平、脇田和、鈴木誠、伊勢正義らが初期の中心メンバーです。1949年には、丹下健三、谷口吉郎、吉村順三、山口文象、前川國男、池辺陽きよし、岡田哲郎の7名によって建築部が設けられました。1951年に日本画部が設けられ、新制作協会と改称します。

建築部の設置の際に、丹下は、「創造的な世界では、建築、彫刻、絵画は一つである。それをModernismと呼びたいと思う」と創造活動の統一の必要性を『新建築』で論じました*。

新制作協会で誕生した領域を超えた協力関係は、会の活動以外にも見ることができます。例えば丹下が設計した香川県庁舎の東館1階にある壁画は猪熊によるものですし、当館から徒歩圏内にある帝国劇場は谷口による設計で、ロビーには猪熊の絵のステンドグラスが使われています。ちなみに当館の建物も谷口の設計です。

*丹下健三「建築・彫刻・絵画の統一について」『新建築』24巻11号、1949年11月号

9.工芸ニュース
1932年に商工省工芸指導所の編集により創刊された研究機関誌です。工芸指導所での試験・研究発表の他、国内外の工芸・デザイン関連のニュースを詳細に伝える貴重な情報源の一つで、1974年まで刊行されました。

キャプションに表記されている巻・号情報は、正式な書誌情報に基づいていますが、表紙の表記と一致しないのでご注意ください。今だったらあり得ない誤植(あるいは単にルールがなかったのか?)ですが、ともかくおおらかな時代だったことが分かります。

10.商工省工芸指導所
国内の工芸の近代化、産業化と東北地方の工芸業界の発展を目的とした国立の研究・指導機関で、1928年に仙台市に設立されました。素材や技術の研究や情報交換、海外との交流の中継等、日本におけるものづくりの発展に寄与しました。剣持勇、秋岡芳夫、豊口克平といった、日本のデザイン史を彩る面々が所員として所属していました。1952年に、工芸指導所は産業工芸試験所と改称し、インダストリアルデザインの指導・研究が主な業務となります。

1950年に工芸指導所を訪れた彫刻家イサム・ノグチは、剣持勇の協力を得て、一時的に指導所内にアトリエを構えました。当時関わっていた慶應義塾大学の新萬來舎のための家具や彫刻作品の制作にあたるためです。その後、アメリカに帰国したノグチが仲介となって、イームズ夫妻がデザインしたアームチェアが剣持と柳宗理のもとに届けられます。この逸話も含め、工芸ニュースにはイームズに関する記事が多数掲載されています。

文:野見山桜(本小特集企画者|東京国立近代美術館工芸課 客員研究員)

イベント詳細

◆内容
展示/見学

対象・定員

◆対象
どなたでもご参加いただけます。

日時・会期

◆会期
2021年10月5日~2022年2月13日

◆開館時間
10:00~17:00(金・土曜は10:00~20:00)
※企画展は、展覧会により開館時間が異なる場合があります。
詳細は各企画展ページでご確認ください。
※いずれも入館は閉館30分前まで。

◆休館日 
月曜日(祝休日は開館し翌平日休館)、展示替期間、年末年始

場所

東京国立近代美術館

料金・準備物

◆料金
個人、団体(20名)、5時から割引
一般 500円、400円、300円
大学生 250円、200円、150円

※いずれも消費税込。
※高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズ、MOMATパスポート、賛助会・友の会会員証をお持ちの方、MOMAT支援サークルパートナー企業(同伴者1名まで、シルバー会員は本人のみ)は無料です。それぞれ入館の際、学生証、健康保険証、運転免許証など年齢の分かるもの、会員証、社員証、障害者手帳等をご提示ください。

※ご来館に際しては日時指定予約が必要です。(上記無料対象者もご予約をお願いします。)

   

申し込み

◆申込方法・申し込み先
ご来館に際しては日時指定予約が必要です。
公式サイト「来館案内」よりお申し込み下さい。

お問い合せ

東京国立近代美術館
050-5541-8600(ハローダイヤル 9:00~20:00)

TEL /050-5541-8600

開催地

東京国立近代美術館

東京都千代田区北の丸公園3-1
東京都千代田区北の丸公園3-1
申込み・詳細はこちら

関連イベント

もっと見る